MySQLとPostgreSQLの違いとは?選び方をわかりやすく解説

データベース・データ管理

「MySQL と PostgreSQL、どっちを使えばいいの?」——データベース選定で多くのエンジニアが最初にぶつかる疑問です。どちらも無料で使えるオープンソースのリレーショナルデータベース(RDBMS)ですが、設計思想や得意分野が大きく異なります。

この記事では、MySQLとPostgreSQLの違いを設計思想・機能・パフォーマンス・実際のSQL構文の4つの軸で徹底比較します。プロジェクトの要件に合ったデータベースを選ぶための判断基準がわかるようになります。

MySQLとPostgreSQLの違いを一言でいうと?

結論から言うと、MySQLは「高速・シンプルなリレーショナルDB」、PostgreSQLは「高機能・拡張性に優れたオブジェクトリレーショナルDB」です。

MySQLは読み取り性能を最優先に設計されており、WordPressをはじめとするCMSやWebアプリケーションのバックエンドとして圧倒的なシェアを誇ります。一方、PostgreSQLは標準SQLへの準拠を重視し、複雑なクエリや大規模データ処理に強みがあります。

たとえば、個人ブログや中小規模のECサイトなら MySQL で十分ですが、地理空間データを扱うGISアプリや複雑な集計処理が必要な業務システムでは PostgreSQL が力を発揮します。

MySQLとは?

MySQL は1995年にスウェーデンの MySQL AB 社によって開発され、現在は Oracle が管理するオープンソースRDBMSです。世界で最も利用されているオープンソースデータベースの一つで、Facebook(Meta)、Twitter(X)、YouTubeなど大規模サービスでも採用されています。

MySQLの特徴

MySQLの最大の特徴は読み取り速度の速さです。ストレージエンジンを選択できるアーキテクチャ(InnoDB、MyISAMなど)を採用しており、用途に応じてパフォーマンス特性を切り替えられます。また、セットアップが簡単で学習コストが低い点も人気の理由です。

レプリケーション機能も充実しており、読み取り負荷の分散が容易です。LAMP(Linux + Apache + MySQL + PHP)スタックとして長年の実績があり、ホスティングサービスの多くがMySQLをデフォルトで提供しています。

MySQLの使いどころ

MySQLは以下のような場面で特に力を発揮します。

  • CMSやブログ:WordPressなどPHP系CMSとの相性が抜群
  • 読み取り中心のWebアプリ:ECサイトの商品一覧、ニュースサイトなど
  • スタートアップの初期開発:セットアップが容易で素早くプロトタイプを作れる

PostgreSQLとは?

PostgreSQL は1986年にカリフォルニア大学バークレー校の研究プロジェクト「POSTGRES」として始まり、コミュニティ主導で開発が続くオブジェクトリレーショナルデータベースです。DB-Engines Ranking で毎年のように順位を上げ、2023年には「Database of the Year」を受賞するなど、近年急速に採用が広がっています。

PostgreSQLの特徴

PostgreSQLの強みは標準SQL準拠と豊富なデータ型です。配列型、JSONB(バイナリJSON)、範囲型、幾何型などMySQLにはないデータ型をネイティブでサポートしています。また、すべての設定でACID(原子性・一貫性・独立性・永続性)に完全準拠しています。

MVCC(多版型同時実行制御)による高い同時実行性能も特徴で、複数のトランザクションが同時に走る環境でも安定した処理を実現します。拡張機能(Extension)の仕組みにより、PostGIS(地理空間)やpg_trgm(あいまい検索)など、目的に応じた機能を自由に追加できます。

PostgreSQLの使いどころ

PostgreSQLは以下のようなプロジェクトに適しています。

  • 複雑なクエリが必要な業務システム:集計・分析処理が多い基幹システム
  • 地理空間データを扱うアプリ:PostGIS拡張で位置情報サービスを構築
  • JSON/NoSQLハイブリッド:JSONBを活用してNoSQL的な柔軟さとRDBの堅牢さを両立

MySQLとPostgreSQLの違いを比較表でチェック

両者の違いを主要な観点で整理しました。

比較項目 MySQL PostgreSQL
分類 リレーショナルDB(RDBMS) オブジェクトリレーショナルDB(ORDBMS)
ライセンス GPL(Oracle管理)+ 商用版あり PostgreSQLライセンス(BSDベース・完全自由)
ACID準拠 InnoDB使用時のみ すべての構成で完全準拠
JSON対応 JSON型(テキスト保存) JSON型 + JSONB型(バイナリ保存・高速検索)
同時実行制御 MVCC(InnoDB) MVCC(全エンジン標準)
レプリケーション マスタースレーブ、グループレプリケーション ストリーミング、ロジカルレプリケーション
拡張性 ストレージエンジンの切り替え Extension機構で機能追加(PostGIS等)
得意な処理 単純な読み取り・大量SELECT 複雑な結合・集計・書き込み混在
主な採用例 WordPress、Shopify、Meta Apple、Instagram、Uber

SQL構文で見る違い:実例で比較

実際のSQL構文にも違いがあります。開発時に戸惑いやすいポイントを紹介します。

AUTO_INCREMENT vs SERIAL

主キーに自動採番を設定する方法が異なります。

MySQL:

CREATE TABLE users (
  id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
  name VARCHAR(100) NOT NULL
);

PostgreSQL:

CREATE TABLE users (
  id SERIAL PRIMARY KEY,
  name VARCHAR(100) NOT NULL
);

PostgreSQL 10以降では、SQL標準に準拠した GENERATED ALWAYS AS IDENTITY も使えます。

文字列結合の書き方

MySQL:

SELECT CONCAT(first_name, ' ', last_name) AS full_name FROM users;

PostgreSQL:

SELECT first_name || ' ' || last_name AS full_name FROM users;

PostgreSQLは || 演算子による結合がSQL標準に準拠しています。MySQLでも || は使えますが、デフォルトではOR演算子として扱われるため注意が必要です。

UPSERT(存在すれば更新、なければ挿入)

MySQL:

INSERT INTO users (id, name, email)
VALUES (1, '田中', 'tanaka@example.com')
ON DUPLICATE KEY UPDATE name = VALUES(name), email = VALUES(email);

PostgreSQL:

INSERT INTO users (id, name, email)
VALUES (1, '田中', 'tanaka@example.com')
ON CONFLICT (id) DO UPDATE SET name = EXCLUDED.name, email = EXCLUDED.email;

どちらもUPSERTに対応していますが、構文が異なります。PostgreSQLの ON CONFLICT はより柔軟で、条件付きUPSERTにも対応しています。

どっちを使うべき?シーン別おすすめ

プロジェクトの特性に応じた選び方を整理します。

MySQLを選ぶべきケース

読み取りが中心のWebサービスを構築する場合は MySQL が適しています。WordPress でブログやコーポレートサイトを作る、PHPフレームワーク(Laravel など)で Web アプリを開発する、レンタルサーバーで手軽にデータベースを使いたい——こうした場面では MySQL の手軽さと実績が活きます。

データベースを初めて学ぶ方にも MySQL はおすすめです。情報量が多く、入門書や学習サービスも充実しています。Udemyなどのオンライン学習プラットフォームにはMySQL入門コースが豊富に揃っており、ハンズオンで効率的に学べます。

PostgreSQLを選ぶべきケース

データの整合性と拡張性を重視するなら PostgreSQL を選びましょう。複雑な集計クエリを多用する分析基盤、地理空間データを扱う位置情報サービス、リレーショナルとドキュメントの両方を扱うハイブリッドなアプリケーション——これらのシナリオでは PostgreSQL の機能面の優位性が際立ちます。

クラウド環境で PostgreSQL を使うなら、AWS RDS for PostgreSQL や Google Cloud SQL が代表的な選択肢です。マネージドサービスを使うことで、バックアップ・スケーリング・パッチ適用を自動化でき、運用負荷を大幅に削減できます。

迷ったときの判断フロー

判断に迷ったら、以下の3つの質問を自分に問いかけてみてください。

  1. JSONデータを頻繁に扱うか? → Yes なら PostgreSQL(JSONB の検索性能が圧倒的)
  2. WordPress や既存のPHPアプリと連携するか? → Yes なら MySQL(エコシステムの相性が最良)
  3. 将来的に複雑な分析クエリが増えそうか? → Yes なら PostgreSQL(ウィンドウ関数・CTE などの高度なSQL機能が充実)

IT技術を体系的に学ぶなら

現場で使えるスキルを身につけたい方には、実践的なカリキュラムが特徴のオンラインスクールがおすすめです。

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まとめ

MySQLとPostgreSQLはどちらも優秀なオープンソースRDBMSですが、設計思想が根本的に異なります。MySQLはシンプルさと読み取り速度、PostgreSQLは標準SQL準拠と拡張性が最大の強みです。

プロジェクトの要件に合わせて最適なデータベースを選ぶことが、開発効率と運用品質の両方を高める鍵になります。まずは小さなプロジェクトで両方を触ってみて、肌感覚の違いを体験してみるのがおすすめです。

データベースの基礎をより深く知りたい方は、SQLの基本とDDL・DML・DCLの違いもあわせてご覧ください。

データベースの選定と合わせて、コンテナ技術の理解も重要です。DockerとKubernetesの違いも参考にしてください。

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